会長挨拶
第54回日本皮膚免疫アレルギー学会学術大会
会長 山本 俊幸(福島県立医科大学医学部皮膚科学講座)
この度、第54回日本皮膚アレルギー免疫学会を福島県立医科大学皮膚科が担当させて頂きます。大変光栄に存じます。
今や免疫が絡んでいない皮膚疾患はないといっても過言ではなく、本学会が扱う領域も非常に広範囲になってきています。
本大会の構成に当たり、いくつか考えたことは、
- ①まだ専門分野を持つ前の若手の先生や、クリニックでさまざまな疾患と日々向き合っている先生方にも満足して頂けるよう幅広い領域をカバーしたい
- ②日の当たらない疾患にももっと注目して欲しい(新しい薬剤が上市されると、当然ながらその分野が注目され講演やセミナーが増えます。一方で、保険適用をもつ新規薬剤がない疾患は中々注目されません)
- ③膠原病・血管炎の皮膚症状・臨床病理を集中して学べる機会にしたい
- ④肥満細胞症にも重点をおく
ということでした。
海外からの招聘講演はバーゼル大学のKarin Hartmann先生に肥満細胞症についてご講演頂きます。先生はドイツ人で、肥満細胞の研究でご高名なBM Henz先生のところで学位の仕事をされた後NIHのMetcalfe先生のラボで肥満細胞の研究に従事されました。私は1997年にドイツに留学しましたが、ちょうど同じころにHartmann先生が米国からドイツのケルン大学に移り臨床研修を開始され、私は同大学のラボで線維化と肥満細胞も研究しており、先生が持ち帰ったHMC-1 cell lineを使って一緒に肥満細胞の研究をしていました。
実は、数年前に厚労省の政策事業に、成人型肥満細胞症の診療ガイドラインに関する応募をしたのですが、審査員から指摘されたのは、学会を(皮膚科だけでなく血液内科も)巻き込んで班を構成するように、ということでした。ただ、決まってから協力をお願いするのは一向に構わないのですが、通るかどうかわからないものに対して時間を割くお願いをするのが憚られ、結局は断念しました。今回、たまたま東京大学血液内科の黒川峰夫先生よりお声掛け頂き、厚労省の研究班に加えて頂き現在全国調査を行っている最中ですので、シンポジウムでは疫学的なお話も頂ける予定です。それに続く一般演題でも肥満細胞症に関連する演題を出して頂けると嬉しいです。
特別講演は、京都大学の椛島健治先生に、種々の炎症性疾患の病態の概念をサイトカインバランスの面から再考するお話や、順天堂大学免疫学 三宅幸子先生には全身性エリテマトーデスのご研究のお話を頂く予定です。また、教育講演は北海道大学の氏家英之先生に、自己免疫性水疱症でみられる興味深い現象について、また皮膚血管炎の臨床病理の権威、陳 科榮先生に、最近話題の皮膚血管炎についてのお話をお願いしました。
シンポジウムは、私の勝手な思いつきでいろいろ企画しますが、中でも、膠原病の皮疹と血管炎の皮膚病理には重きを置きたいので、この辺りに関わる一般演題をぜひたくさん出して頂けるとありがたいです。また、昨年の本大会で、池田志斈先生がシンポジウムを公募され、私が応募した「好酸球性皮膚疾患を深く学ぼう」を採択して頂きました。今回も一般募集も行いますので、もし企画して欲しいテーマがありましたら、応募ください。すでに内々に打診も来ており、枠の都合や内容の重なりにも依りますが、できる限り協力させて頂きたいと思います。
本会は12月のクリスマス直前に開催されます。雪でも舞い降りてくれるととてもロマンチックな忘れられない会になるのでは、と密かに思っています。
最後に、本学会のテーマは、「学問というXmasプレゼント」にしました。せっかくお越し下さる方々にたくさんの(?)贈り物を用意したいと考えています。
ぜひ郡山市にお越し頂けるのをお待ち申し上げます。